相続OS
相続で最も手間がかかり、最も報酬が付かない仕事は、預貯金の払い戻しです。銀行ごとに様式も必要書類も窓口も違い、誰も標準化していません。相続OSはそこだけを取ります。登記も申告も争いも取りません。
株式会社Plangers / 2026年9月 / 正本:ナレッジベース
01 — 分解図
確定する・決める・移す・納める・片付ける。このうち「移す」だけが財産の種類で割れ、預貯金だけが銀行ごとに割れる。
| 動詞 | 中身 | 窓口 | 標準化 | 独占業務 | 今のプレイヤー・価格 | 相続OS |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 確定する | 相続人(戸籍)/財産(残高証明・名寄帳) | 市区町村/金融機関ごと | 戸籍は統一、財産はバラバラ | 相続人の「特定判断」は士業 | 士業 | 手順の案内・目録 |
| 決める | 遺産分割協議・協議書 | 相続人間 | — | 交渉は弁護士、協議書は行政書士等 | 士業 3〜10万 | テンプレ+本人作成 |
| 移す | 預貯金の払い戻し | 銀行ごと(200行超) | 非標準。大手7社は2028年に共通化、地銀・信金・JA・ゆうちょは残る | なし(本人でできる) | AGE 49,800円/行、士業は嫌う、信託110万 | 本丸 |
| 移す | 不動産の相続登記 | 法務局(統一) | 標準 | 代理は司法書士。本人申請可 | better 8,250円、AGE 108,000円、司法書士 平均74,888円 | 流す |
| 納める | 相続税申告(該当10.4%) | 税務署 | 標準 | 税理士(無償独占) | better 55,000円、税理士は財産比例 | 流す |
| 片付ける | 役所届出/解約/遺品 | 市区町村・各社 | 役所は一本化進行、解約はバラバラ | なし | 誰もいない | 案内 |
窓口が1つの領域(登記・税)は、ソフトウェアが既に価格を床に落とした。残った非標準は預貯金だけ。本人でできるから独占業務ではなく、だから士業は嫌い、だからソフトウェア化されていない。
02 — ペイン
主役は子世代(平均58歳)。遠方に住み、仕事があり、口座凍結に気づいたところで始まる。ペインが集中するのは1ヶ月目から10ヶ月目。葬儀と役所は既に整っていて、整っていないのはその後。
03 — 数字
出典はナレッジベース「09 出典」。日本の遺族の作業時間は一次データがなく、1件目で実測する。
04 — 競合と隙
| プレイヤー | 範囲 | 価格 | 形態 | なぜ預貯金を取れないか |
|---|---|---|---|---|
| そうぞくドットコム(AGE technologies) | 登記、預貯金 | 登記108,000円/預貯金1行49,800円(166,500円無制限は要検証) | 本人申請支援+コンシェルジュ。23人、エンジニアなし | 行ごと課金が既存の価格体系。to B(地銀)と保険・不動産に振った |
| better相続(辻・本郷ITコンサルティング) | 登記、相続税申告 | 登記8,250円/申告55,000円 | DIYソフト。税理士チェックなし | 預貯金をやっていない。税理士法人系で税に強く、非標準を吸収する動機が薄い |
| 司法書士・行政書士 | 登記、遺産承継 | 登記74,888円/承継272,780円 | 代理 | 「手間の割に報酬が付かない」と明言 |
| 信託銀行 | 全部 | 110万円〜 | 遺産整理業務 | 価格を下げられない |
| みらいたすく(大手金融7社) | 大手の預貯金・証券 | — | 2026年秋新会社、2028年秋全国 | 地銀・信金・JA・ゆうちょは対象外 |
| いい相続・相続会議・やさしい相続・相続の窓ぐち | 専門家紹介 | 無料(業者課金) | ポータル | 比較して紹介するだけ。小さなお葬式の創業者が「比較では納得されない」と捨てた型 |
真似できないのは技術ではない。それぞれの収益構造が、このニッチを取りに行くことを禁じている。
05 — ポジション
すべて法的に越境するため
対象は「普通の家」。争いがなく、相続人が直系で、相続税がかからない。死亡者の約9割。
06 — 商品と価格
AGE の預貯金1行49,800円に対し、2行で並び、3行以上で明確に下回る。価格は1〜2件目の工数実測後に確定する。無料の案内ツールは公開済み:souzoku-os.web.app/tool
07 — 法的根拠
法務省の一次資料が2つある。2018年のグレーゾーン解消制度への回答(Graffer社)は、利用者の入力から登記書類を自動生成して本人が申請する形は、個別の助言をしない限り司法書士の独占業務に当たらないとした。2023年2月の国会答弁は、線を越える行為を3つ名指ししている。
税理士法は無償独占で、個別の「かかる・かからない」判定は不可(一般的な計算式の表示は可)。行政書士法19条により、会社が報酬を得て遺産分割協議書を作るのは不可(テンプレート+利用者主導の生成なら可)。弁護士法72条により、円満でも相続人間の仲介は不可。
預貯金の相続届については公式回答がまだ存在しない。グレーゾーン解消制度へ照会し、回答を取ることを検討している。取れれば「預貯金の本人申請支援は適法」という公的な裏づけになる。
08 — なぜ今
相続登記の義務化(2024/4)と戸籍の広域交付(2024/3)で、本人が動く前提の制度が揃った。
AIで、金融機関ごとの非標準化を吸収する原価が落ちた。「個別対応が要るから定額にできない」という業界の前提が消える。
登記が8,250円に落ちたことで、預貯金が「普通の家の相続で残る重い仕事」として露出した。
2028年の大手共通化までに、地銀・信金・JA・ゆうちょで先に立つ窓がある。
09 — チャネル
死亡直後の遺族に必ず会う唯一の接点。地場の中小葬儀社は社長一人で決まり、施行後に売るものがない。料金表を渡してもらい、成約時に紹介料(葬儀社は士業ではないので可)。
遺産承継を受ける司法書士・行政書士に、彼らが嫌う預貯金払戻しを引き受ける。士業は顧客を持っているので獲得問題が消える。対価は業務委託かシステム利用料。紹介料は全士業で禁止のため使わない。
10 — ロードマップ
| Phase | 期間 | やること | ゲート |
|---|---|---|---|
| 0 検証 | 〜2ヶ月 | 主要金融機関の様式DBとAI標準化/案内ツール公開(済)/モデルケース/法的確認 | 正答率90%。切ったら撤退 |
| 1 MVP | 3〜6ヶ月 | 1件目(無償)→ 有償2〜5件目/葬儀社1〜3社/士業1〜2事務所 | 月30件・CAC<粗利・広告以外の獲得1本 |
| 2 拡張 | 6〜18ヶ月 | 人を雇う/チャネル提携/地銀・信金・JAの様式を網羅 | 月100件、提携経由が過半 |
| 3 スケール | 18ヶ月〜 | 全国/責任を負うプラン/出口の検討 | — |
11 — お願い
12 — Reference
相続OS ナレッジベース(全体像・分解図・ペイン・法制度・プレイヤー・士業の巻き込み・用語集・遺族FAQ・出典/経緯・引き継ぎ・ロードマップ・MVP定義・110社分類)
サービスサイト:souzoku-os.web.app(souzoku-os.com へ切替中)